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LORANサービス終了

とうとうLORANがただの箱になりました。
2010年2月8日をもって、アメリカ本土にある24のロラン局が運用を停止しました。これにより機体に取り付けられている受信機は、ただのお荷物になります。50年以上にわたるロランの歴史に打たれた終止符でした。

以前にも、2000年12月31日をもって終了との、計画がありましたが、ユーザーの反対により延命されていました。オバマ大統領に代わり、税金の無駄遣いが見直され、とうとう今回の決断に至ったわけです。

ナイスエアでも、たくさんの飛行機がロランを装備していました。セネカ、トラベルエア、セスナ172、そしてニューヨークまで旅したサンバウナーにもついていました。トラベルエアを除く全ての機体から既に外されていますが、かつては大いに働いてくれたものです。

N23ATに付いていたものは、一番古いタイプのもので、なんとデータベースがありません。自分でウェイポイントを打ち込むのです。チャートやA/F DからウェイポイントのIDを探し、経度緯度を打ち込むという作業が必要でした。そうやって、せっかく残したデータが、あるとき消えていたりしてがっかりしたものです。

N737TXに付いていたのは、ちゃんとしたデータベースがあり、ずっと楽でした。データベースから目的地のIDを選べばすぐに使えました。サンダウナーにも、この手のものがついており、ニューヨークに行く時にも心強い思いをしたものです。

N73454に付いていたものはもっと進んでいて、出発地から、目的地の間にあるチェックポイントを設定できるので、飛行経路を準備できたのです。離陸後は勝手に次のチェックポイントまでの方位や距離を表してくれたり、チェックポイントに近づいたら知らせてくれたり、ターンするタイミングを教えてくれたりと、至れり尽せりで、今のGPSに近い機能がありました。

しかし90年代には既に時代はGPSへと移り変わっていきました。GPSも似たような発想ですが、最大の利点は「地上局の整備がいらない」ことです。人工衛星は元々軍隊がお手入れしてるので、FAAがお金を払うとしてもロランの整備費に比べれば微々たる物。こうしてFAAは飛行機オーナーにGPSを「強く薦める」事にしました。

確かにGPSの精度は凄い。しかし、ロランユーザーからすればお金のかかる事なのでかなりの抵抗がありました。とはいえさすがにもうだめですね。N73454のロランも「RHVまでマイル」なんて表示していましたが、その時に我々はRHVでランナップの最中でした。そうすると我々はどこにいたんでしょう?

今や時代はGPS。好きとか嫌いなんて言ってられなくなりました。とりあえず勉強しましょう。garmin.comでシュミレーターとマニュアルがダウンロードできます。使ってみれば便利さが分かると思います。

02-10-2010