エアラインに活きる基本
先日、アメリカを久しぶりに訪れた卒業生と話が出来ました。
彼は、日本の航空会社に就職し、副操縦士として旅客機に乗務しています。
彼の機体はMD(71?)でやや古めの機体。気になったのは「どんな計器があるの?」と言うことでした。旅客機だからきっとグラスコクピットで、GPSやFMSも付いていて・・・と思っていましたが返事は意外で「C172に付いているのと同じです。」とのこと。
びっくりしました。彼の言うC172というのはVORが2つとADF、それにDME。それだけ。オートパイロットはついているけど、それ以外はナイスエアーや朝日航空のC172とほとんど同じものです。
ムービングマップなんてありません。とってもシンプル。姿勢計やDGも速度計も高度計もまったくそのまま。
更に驚いたことに、紙で作ったナビゲーションログにしっかり記入しながら飛ぶそうです。
「この間NDBの直上でホールディングをさせられましたよ。」とまで。おお!すごい。訓練そのままじゃないか!
我々の訓練はとにかく飛行機を飛ばす基本を徹底的に身に付けるもんだ。大きな機体では自動化されていることでも、手動でできるようにコンセプトを理解して。そうすれば別の機材を使っても困らない。
そう教えてきましたが、何の事はない、まさにここでしている訓練がそのままエアラインで役に立つと聞いてある感動を覚えました。
計器飛行の訓練でも、「GPSが付いてる機体でないと困ります。」とか「ADFは分かりづらいので」とか言ってGPSのムービングマップに頼りきる生徒が増えてきています。教官でも「この機体はGPSがないからIMCでのクロスカントリーには使えない。」とまで言い出す始末。
ふざけんじゃねぇ!てめぇらそれでもパイロットか!まったく情けないですね。基本が出来ていないと機体の性能を引き出せない。
アメリカでもpart135のカーゴなんかはまだまだ同じような機材で飛んでいます。ある会社はGPS付きの機体は全体の10%しかないと言いますが、どこも似たり寄ったりでしょう。この会社のパイロットが「GPSがないと飛べません。」なんていうようなら即クビ!あまいわ!
学んだことが即活かせる職場って案外あるもんです。「チェックライドにパスしたらもうこんな方法使わないよ。」なんて事はない。エアラインと言う最前線で訓練と同じ技術を要求される。基本の訓練が、直接、間接的に生きてくる。基本の重要性を再認識しました。
08-03-2009